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珠氣鍼灸治療院

疲れに気づかない”暗耗”とは

疲れに気づかず過ごして、気づいた時には酷ければ重篤な状態にまで身体を酷使してしまう。現代人の中でこういった方は多くおられます。

そのように”疲れに気づかない”人の状態を”暗耗”と呼びます。

人の精神活動から”暗耗”についてお話ししますと。

東洋医学で”神”(しん)というのは、五臓でいう「心(しん)」が行っている精神活動のことを言います。


この”神”(しん)の働きというのは、全身の意識・感覚を統括する働きを持っています。なので、この神(しん)の働きを起こさせている臓の心(しん)は、「君主の官」と呼ばれています。君主=王のことなので、生命を主る上で全権を握っています。

西洋医学では、意識や感覚は””が統括していますが、東洋医学では、””という臓がその働きを担っているとされます。

これは、東洋人に「”こころ”はどこにありますか?」質問すれば、必ず胸を指さす理由もそこにあります。

仏教では、”こころ”のことを「神」と呼ぶことがありますが、このことも東洋医学から来ています。人間の内なる「神」。自らの心を戒めて、正常な精神活動を求めるというのが仏教の本懐であります。内なる「神」を育てるという意味なんでしょうね。


因みに”精神”というのも、この東洋医学の「神」が関係しています。

”精”というのは、「優れたもの」という意味があります。

人間に許された優れた神(意識や感覚)。これが”精神”の語源になります。



暗耗を語るうえでもう1つの精神活動をお話ししなければなりません。

それは、”魂”(こん)です。

”魂”(こん)は、五臓でいう「肝(かん)」が行っている精神活動のことを言います。


この”魂”(こん)の働きというのは、無意識・本能・人格を主る働きを持っています。

無意識・本能に関わる部分があるため表面的に現れにくい特徴があります。



明るみにならない理由

中国の古典で、”神”と”魂”の精神活動の関係性を太陽と棒にできる影に例えています。

”神”は自然界で太陽の働きに位置しています。”神”というのは、人の意識や感覚を統括している存在で、その意識や感覚というのは認識され明るみにされています。

では、意識が行き届かない部分はどういうところかというと、太陽の視点から外れた棒の影の部分。これが”魂”であり、無意識・本能といった精神活動を取り扱う部分になり。自発的な意識や感覚ではないので明るみになりにくいといった特徴があります。

現代医学では肝臓というのは、『沈黙の臓器』と言われるくらい病の進行に気が付きにくいと称されますが、東洋医学の肝が蔵している”魂”(こん)の性質からもそのことがうかがえるかと思います。


肝の働きが暗耗に関わる

上記の資料をそれぞれ解説しますと、

肝の働きは、将軍の様に身体の内部の統制を図りながら全身に送る血液を分配する役割を持っています。それによって”謀慮”、考慮しながら謀(はかりごと)ができる様になっています。

肝の基本的な働きとして、血液を貯蔵する働きがあります。それによって先ほどもお伝えしました”魂”(こん)の無意識・本能・人格といった精神活動が備わっていますよという事です。

最後に肝は、「罷極の本」。罷という文字には、「疲れ」の意味があります。罷=疲と同義です。疲れの極みを知る大本という事で、肝が蔵している血液が減ると疲れが起きますという事です。

肝と血液との関係

肝は血液を貯蔵し、必要な時に全身にその血液を分配する働きがあります。


肝に血液の集まりが不足していると、

寝て起きても疲れが取れない」、「疲れやすい」、「イライラしやすい」と言ったように、肉体や精神に影響を与えます。


反対に肝の血液が充実していると、「睡眠が充実」、「疲れにくい」、「ハツラツしてる」と言ったように、肉体や精神に良好な影響を与えます。

疲れに気づきにくい暗耗の状態

前置きが長くなってしまいましたが、


「暗耗」の状態というのは、肝に納められている血液の不足はあるのですが、気を昂らせることで疲れを無意識に抑えている状態であります。なので仕事終わりに気が緩むと、疲れが”ドっと”押し寄せてきます。これを繰り返すことで、身体が疲れに鈍感な状態に慣れてしまう仕組みができあがります。

これが【車の運転や何かの作業中の事故】とかに繋がったりするんですね。

暗耗状態の患者さんの治療で時々起こること

鍼治療を受けられた方で、「カラダがだるくなった」とか「ボーっとする」とか「眠たくなる」といった経験をされたことはありませんか?

これらの感覚を体験された方のほとんどが、”肝血を補う治療”や”気が昂っている降ろす治療”を受けられたというのが事実です。


「治療を受けたのに”ボーっとする”とか疲れるというのはどういうことか!」思われるかもしれません。


ただこれは肝の『罷極の本』の働きが戻ってきているという証拠です。

肝の疲れの本懐を知る働き」が正常に戻ってくることで、肝に血液が集まり始めた証拠になるんですね。

肝の血液が充実してきていれば、おそらくその日の眠りにも良い影響が出るはずです。


「疲れを感じる様になる」というのは、今まで身体が抱えていた”疲れ”に気が付かなった『暗耗』の状態であったということです。


鍼の治療で暗耗の状態が改善された時の現象であると覚えておいてください。



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