「寒痺」、これも前述した風痺、湿痺と同じく寒さの影響を受けて起こります。
寒さ(寒)とは
人は、寒さを感じた時、身を縮ませたり、ブルブルと震えたりするといった行為をしますね。これは寒さによって体温が奪われ、それ以上体温を外に逃がさないようにするための体の防御反応です。その反応から寒さが人体に及ぼす作用は、
・体温を奪う(東洋医学的に言うと”陰の性質により人体の陽気を奪う”)
・凝滞、収引する(気血の流れを滞らせ、ギュっと引き収められることで、冷えの影響がさらに進む働き。痛みの原因)
これも例をあげると分かりやすいです。
スーパーで買い物をしている時に、鮮魚や精肉、冷凍食品コーナーに行ったとき冷えやすく腕や足が痛くなったりしたことがありませんか?
そういった場面で感じる寒さによる痛みが、正に寒さの働きである、「体温を奪う働き」、「血流を凝滞、収引させる働き」によって引き起こされたものです。
身の周りの寒さ
上記の例でもそうですが、寒さに触れる影響は、冬だけに限らず、スーパーの中、夏場のエアコン、空調の効いた職場環境といった場所を考慮すると一年を通して身に受ける可能性があります。
寒い時期、寒さに囲まれた環境で、肩や腰に激痛が起こり、動作が制限されるとなると、”寒痺”にかかった状態と判断することが多いです。
寒痺の症状
寒痺の症状は
・強い痛みを伴う(凝滞、収引作用)
・関節の動きが制限される
・冷やすと症状が悪化する(冷えによる症状)
・痛む部位が限定している(固定痛)
寒痺にかかった人の特徴
・内臓の病気でもないのに急に激しい痛みの腰痛が起こり冷や汗をかいて立ち上がるのが難しい。
・急に肩に強い痛みが起こり動きの制限が出てくる時にはシビレる(温めると痛みが和らぐ)。
などが多いです
寒痺の改善方法と予防
改善方法
寒痺の改善は、中医学では温経散寒や散寒止痛といった治療方針を建てます。
これはどういうことかと言いますと、気血津液が流れている経絡が寒痺という状態によって冷えて流れが滞っている状態を、ツボの効力によって経絡を温め流れを起こし、寒さを追いやることで改善させる方法です。主にお灸や浅い鍼で治療します。
予防
月並みの事を言いますが、まずは寒さに直接肌をさらさないことです。
特に首や背中に冷気が当たらないように衣服を着たり、その部分に空調を当てないように工夫しましょう。
次に冷たいものの飲食を控えること、とは言っても欲しい時は欲しいと思われる方もいるので(笑)食べた後に体の冷えを感じた時には、すぐさま温かいお茶を飲んで胃を温めてあげてください。
最後に体に水分をため込まないことです。いわゆる、むくみや脂肪をため込まない事。
東洋医学では、むくみや脂肪というのは、水と同じ概念で捉えます。水という物質は、冷えたものを温めるには、火力と時間が必要になります。瞬時に温まるわけではないんですね。なので水が多ければ、それだけ火力上げたり、温まるまでの時間が長引きます。
寒痺の治療も、身体も水分が多い人は、その分治療にかかる時間が増えるリスクが増します。なので普段から飲食や運動に気を付けてさえいれば、たとえ病気にかかったとしても重い病にかかったり、治療期間が長引くということがすくなくなります。
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