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珠氣鍼灸治療院

子供の発達を考えるには

子供の心身の生理機能をまずは知っておくこと

 子供は動的性質



「子供は風の子」ということわざがありますが、この言葉こそ子供の性質を現している言葉になります。この言葉の意味は皆さんご存じの通り「子供は寒い中でも外を駆け回って遊ぶもの」とあります。

風というのは、東洋医学で「動き回る」という性質があり”陽”の性質であるとされます。

この言葉の本来の意味は、「子供の性質とは風のように動き回る陽的性質を持っているということを示しています。

また、こどもは風の子の後に「大人は火の子」という言葉が続きます。これは大人の性質について述べているんですね。

この言葉の意味は「大人は寒がって火のそばを離れない」となっています。

大人の身体は子供に比べて寒さを跳ね返すくらいの体温が発してないから寒さに弱く火のそばを離れることができないということを言っているんですね。東洋医学で「じっと留まる」というのは”陰”の性質であるとされます。


ここで陰と陽について説明させていただきますね。

陰陽というのは、東洋医学の特徴的な理論体系で万物の事象を2つの性質に分類する考えです。

この陰陽の考え方は東洋医学では欠かせない理論になります。

病が熱から来ているのか、冷えから来ているのか。上半身にあるのか、下半身にあるのか。

外側にあるのか、内側にあるのか。訴えられる症状や脈、舌、お腹、ツボの反応を見ながら陰陽の分類別けを短い時間の間で行い治療に生かしているんですね。


子供の生理機能の話に戻ります。

子供は、体温が高く、脈拍が速く、よくしゃべり、よく食べる。といった様に動きが積極的です。これはまさに子供が”陽”の性質であるということを言っています。

どうして子供は”陽”の性質なのか

子供が陽の性質である理由について考えてみます。

子供の身体はまだ完全な状態でなく内臓や骨、筋肉、神経が未発達です。

そのため成長という過程が必要になります。

成長というのは外に上に体を大きくしていくことですから上や外の概念を内包する”陽”の性質なんですね。

そういったことで子供の心身の成長の為には陽の性質が必要になるわけです。

男女の成長の違い

中国の最古に編纂された医学書である黄帝内経素問に男女の成長の仕方を

”天癸”という言葉を使って述べています。

天癸というのは身体の転換点のことを言います。

女性は、7の倍数。男性は、8の倍数で身体の機能の変化が起きるとされます。


<女性の天癸>

七歳にして成長が盛んになり歯が生え変わり髪の毛がしっかりする。

十四歳にして性機能が成熟し月経がはじまる。

二十一歳にして体の成長が満ちてくる。親知らずが生えそなわる。

二十八歳にして筋骨が人生の中で一番ピークに達する。身体の最盛期。

三十五歳にして肌肉を栄養する機能が衰えてくる。顔や髪に衰えが出始める。

四十二歳にして顔がやつれはじめ白髪が出てくる。

四十九歳にして月経が終わりを迎えるころ


<男性の天癸>

八歳にして成長が充実し始め歯が生え変わり髪の毛がしっかりする。

十六歳にして性機能が成熟し射精が始まる。

二十四歳にして体の成長が満ちてくる。この時まで背が伸びる。

三十二歳にして筋肉や肌といった身体の組織が最盛期を迎える。

四十歳にして頭髪が抜け始め、歯につやが無くなる。

四十八歳にして顔や頭髪に衰えが出る。

五十六歳にして筋力や性機能が衰える。

六十四歳にして歯が抜けて髪が落ちてしまう。

成長の盛衰は腎の臓器が関与する

太古の時代も健康で長生きすることが人々の理想とされていました。

道教をはじめとした不老長寿の方法を模索する教えもその流れです。

東洋医学の医学書には、健康で長生きをするにはある臓器の健康状態を損ねないことが重要であるということが度々書かれてあります。

その臓器というのは、五臓の中の「腎」という臓器になります。

つまり、腎という臓が長寿や健康的な人の成長に関与しているということがうかがえるんですね。

子供の健康的な成長をおくらせる為にはこの腎の働きを重要視しなくてはなりません。

子供の成長は父母から継承する体を作るもとが重要

幕末から明治にかけて小児の疾患の研究をされていた村瀬豆洲氏が子供の発達について

述べてある文章があります。


「児長大ニシテ行クコト能ハズ、行ク時ハ脚弱ス是ヲ行遅ト云。是亦腎気不足ノ致ス所也… 

(子供が成長しても歩くことができない、進もうとする時に足が安定して立つことができないものを行遅【こうち】という。これは腎の働きが不足していることにあります)

 歯遅、髪遅モ皆腎気ノ不足トス。元父母ノ精血不足ニテ腎気ヲ養栄スルコト能ハザルニヨル其元ヲ培スベシ」

(歯遅【しち】、髪遅【はっち】も皆腎の働きが不足から来ている。原因は父母の精血【精子や卵子を作るための血液】が不足して腎気【精子や卵子にあたるもの】を栄養できなかったことにあります。その原因を培うことがよろしいですよ)


子供がある程度成長しても歩きはじめが遅くなる、歯や髪の生え方が遅くなるといった発育の遅れは”腎”の臓器の弱りから来ていると述べてあるんですね。

そして腎の臓器の弱りを持って生まれてくる原因は、父母の腎の働きの弱り(精子や卵子。またそれらを形成するための身体の栄養状態の不足)から来ていると述べています。


父母の精血という文面が非常に重要な部分になります。子供の発育を元から支えているのは、父親と母親の精子と卵子の健康状態が重要であるということです。

また精子や卵子を形成する父母の血液が新鮮でないといけないということです。


この話と繋がるのが不妊の治療です。

不妊治療で卵子に精子を人工的に授精させる手法をしたけれども着床しなかったという例がありますが、その原因として卵子の健康状態だけでなく男性側の精子の健康状態もあげられることがあります。


そのことについて景岳全書という医学書の婦人科の部分で説明しています。

小産(昔の流産)についての文章なんですが、それについても原因は父母の精血と腎の働きの弱りがあると述べているんですね。

本書では具体的に父母の精子と卵子の健康状態について、苗と畑の土壌で例えられています。


苗が健康であって畑の土壌に栄養が少ないと、苗を植えたとしても土壌の栄養が苗に伝わらずやがて苗は育たなくなる。

反対に、苗が痩せていて畑の土壌が肥沃であっても、せっかく栄養豊富な土壌があるにも関わらず苗が根を張ることができずに枯れてしまう。と言っているんですね。


何度も述べますが発育の遅れと不妊の原因は、腎という臓器の健康状態が大いに関係します。


つづく

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