五十肩と肩こりについて患者さんとお話しする機会がありましたので、
その中でお伝えしなければと思ったことを載せてみます。
結論から言わさせてもらいますと、肩こりと五十肩は全く違う状態です。
肩こり
肩こりとは、主に、首から背部にかけて付いている僧帽筋、
肩甲骨の上部、内側に付く肩甲帯筋群といった筋肉が
血液の巡りが悪くなって張り感、痛みが起こる病態の事を言います。
五十肩
五十肩(肩関節周囲炎)とは、肩関節をまたぐ筋肉が炎症、または拘縮を起こし、
激しい痛みや動作制限が起こる病態の事を言います。
肩こりと五十肩は、起きる原因が違う
両者の症状の違いから見ますと、
肩こりの張り感や痛みが出てくるのは、血流のめぐりの悪さからきています。
五十肩の動かした時に激しい痛み、肩関節の動きの制限が現れるのは、炎症によって引き起こされています。
炎症というのは、傷ついたヵ所を修復する為に起こる治癒の働きの一部分を指します。
そのことから炎症は、体の組織が傷ついていることなので、血流が悪くなることで起きる
肩こりよりも、五十肩の方がより病態としては重たいという事です。
五十肩の特徴的な症状
五十肩には特徴的な症状の現れ方があります。
例えば
・高いものを手で取ろうとしたとき、シャツに手を伸ばそうとしたとき、頭の後や背中で手を組めないなど「動作に時に痛みが伴う・動作が制限される」
・肩にものが当たっただけで激しく痛む「接触による痛み」
・夜に肩がうずいて眠れない「夜間痛」
五十肩の経過
五十肩は大きく分けて3つの段階があります。
【炎症期】名前のごとく炎症が強い時期なので、激しい痛みが起きます。
↓
【拘縮期】炎症が落ち着き、痛みよりも筋肉の伸び縮みが悪くなる時期になります。
↓
【回復期】筋肉の伸び縮が良くなり、段々と関節の動きが出てきます。
五十肩は、一般的に自ら治癒する病気とされ、半年、1年、長くかかって1年半かかります。
五十肩の鍼灸の治療ポイント
五十肩の治療のポイントは、経過ごとに治療目的を考えてアプローチすることにあります。
【炎症期】であれば、炎症をまず抑えることで痛みや腫れを鎮めていきます。
鍼灸治療は特にこの炎症による痛みに対して、局所を使わなくても対応ができるというのが最大のメリットです。寝れないくらい激しい痛みに対しても有効です。
【拘縮期】であれば、炎症が原因で起きた筋肉の癒着(拘縮)を血液の循環促進させることによって、関節の可動域を出せるようにもって行くことができます。
具体的には、血液の流れを活性させたり、受傷部位に滞っている古い血液の排出する効果をツボの働きによって起こさせます。
【回復期】であれば、段々と筋肉の動きが出て来ているので極短い期間で治療が終わります。
特にお伝えしたいことは、【炎症期】に早く治療を受けることを強くお勧めします。理由としては、長い間、炎症を放置しておけば痛みによって日常生活が制限されたり、後に続く筋肉の癒着(拘縮)する期間が長引いてしまうからです。
なるべく痛い時は我慢をせず炎症を根本的に取り除く治療を受けることをお勧めします。
最後に
皆さんが一番気になるのが治るまでの期間だと思います。
これは五十肩の症状の軽重があるように一概には言えませんが、短い期間で治療するのであれば、先ほどもお伝えしたように早い時期に治療を受けて炎症期を越すことです。
これを行うことで予後はかなり違ってきます。これだけは自信を持ってお伝えができます。
皆様の治療の参考になれば幸いです。
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