前回は、怒り、喜び、思い、悲しみ、憂い、恐い、驚きといった7つの感情が、体の活動の根幹を成している五臓に影響を与えているということをお話ししました。
具体的にどのように影響を与えているのかを説明していきたいと思います。
感情の性質と臓の働きに触れて考えてみると分かりやすいかと思います。
怒りというのは、”肝”という臓に影響を与えています。
怒りという感情が向かうベクトル方向は、外向きに上向きに向かっていく性質があります。
怒る行為を”発散”させるという風に表現するのもまさにその性質を指していることが分かりますね。※この図は大変分かりやすく描かれてます(笑)
五臓の”肝”は、どんな働きをしているのかといいますと。血液を集めてそれを体の組織へ分配する働きをしています。血液を発散させているわけです。
”肝”という臓と”怒り”という感情は、同じ”発散”という働きをしているということです。
つまり、怒っている時は、体の中の”肝”の臓が血液を発散させているということです。
ついつい子供を叱ったりしてしまうお母さんを診させていただく時は、”怒る”ことにより発散の働きが旺盛になることから、”肝”の血液が発散されすぎて、肝の臓に納まる血液が少なっている状態になっていることもしばしばあります。このように発散させる血液が少なくなっていると”易怒”(怒りやすい)状態になりやすいです。専門用語で言いますと肝血の不足だとか肝血虚と呼んだりします。
反対に上手に怒れないとか我慢してしまうと、肝の血液が発散されにくく気持ちが鬱滞されやすくなります。
そういったことから”肝”は身体と心の緊張をコントロールする臓とも言われています。
また、中国古典では、肝は”血”を主る記載されています。
”肝”の働きが正常に運行していると身体や精神に積極性や計画性が反映されて生活面でより良く発揮されます。もちろん、”怒り”という感情にも振り回されにくくなります。
これが”病は気から(気の持ち様)”のしくみです。
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