前回は”気”の性質や変化を具体的に体現化するために編み出された”陰陽”の概念について
日本の四季の動きから説明させていただきました。
四季の陰陽のグラフを見るからに、陰陽の規則的な動きを感じて頂けたと思いますので、
今回はその陰陽の規則的な3つの動きについて紹介していきたいと思います。
陰陽の3つの法則
陰陽には3つの法則があります。それは
1.陰陽互根の法則
2.陰陽転化の法則
3.陰陽消長と平衡の法則
陰陽互根の法則
「陰陽互根の法則」とは、”互根”、互いに根ざしているということです。
つまり、陰陽というのは、両者とも違う性質であるけれども隔絶されたものではなく、
互いに根ざして影響を与え合っているということです。
下にある図(太極図)で説明しますと、明るく白で書かれた部分を”陽”、暗い黒で書かれた部分を”陰”と表現しています。
白と黒の勾玉の中に、互いに反対の性質の色がポツンと描かれていますね。
白の中に黒があり、黒の中に白がある→陽の中に陰がある、陰の中に陽がある
つまりこのことが陰陽は互いに根ざしていますよという「陰陽互根の法則」を指示しているわけです。光ある所に影があり、影ある所に光があるという言葉は、陰陽は互いに存在し合っているという事を意味しています。
陰陽転化の法則
「陰陽転化の法則」は、文字通り読み取れば、転ずる=状態が変わる+化ける=別のものになると表記できます。つまり、陰と陽は、お互いに違う性質に移り変わる働きがあるということです。これは陰陽互根の働きがある故に起きる働きです。お互いに根ざしている存在どうしだから性質の変化が起こるわけです。
陰陽消長と平衡
「陰陽消長と平衡」は、これも文字から考えますと、「消長=盛んになったり、衰えたりする」ことです。陰陽は、それぞれ多くなったり少なくなったりする性質があるという事です。
「平衡」というのは、陰陽のバランスが揃う事を意味しています。
この「消長と平衡」も図で説明すると分かりやすいかと思います。
このように1日の中で陰陽のバランスは、大きく変化します。 お昼の正午に陽の性質が極まり、また正子に陰が極まります。
陰陽の消長というのは、このように陽が多くなるにつれて陰が後退し、陰が多くなるにつれて陽が後退するように陰陽は盛衰しながら動いていく性質があるという事です。
朝と夕に陰陽が平衡を取ります。これは陽から陰へ、陰から陽へ移り変わる時に必ず陰陽の総量が揃いますよという事です。
これは自然界をモデルに陰陽の法則や動きを見ていきましたが、人の体もこの陰陽に従って体内の活動を行っています。
この陰陽の法則は、治療を行う際に度々使っています。例で言うと、問診、舌診、脈診、腹診、ツボの選穴では必ずこの考えを摂り入れて治療に繋げています。
次回は人の身体活動を陰陽を用いて紹介していきたいと思います。
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